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映画『ビック・アイズ(Big Eyes)』を観た

以下、ネタバレを含みます。

感想

ディム・バートン監督の映画『ビック・アイズ』を観たので感想を。 史実に基づく実話で、1960年代アメリカの女流画家の数奇な運命を描いた作品。

コミカルな場面もたくさん盛りこんであるが、当時のアメリカをユーモラスに皮肉っている。

夫・ウォルターの巧みな話術とどこか憎めないキャラクターに笑わせてくれるが、 キーン夫妻だけでなく、どこか独特でキャラ立ちしてる脇役たちと、60年代のアメリカのを再現した町並みや タイプライターとかの小道具も細部が凝っていて、見ていて楽しい。 そして、最後はスカッとして終わる映画。

女性の画家が評価されない時代背景

当時、女性の画家は少なかったという。実際に、女性であるマーガレット自身の名義で画を 個展に展示したが、客には見向きもされないという描写がある。 あくまで夫の支えとしてサポート訳に徹するのが当たり前だったことが伺える。

画を売り込むということ

夫・ウォルターは、天才的な商人だった。時代に則したマーケティングをして画に付加価値をつけ、 経済力のない大衆に画のコピーを売って、財をなした。 大衆を煽動するマーケティング手法を何の罪悪感のなく出来る人で、金のためなら平気で嘘をつくし、 批判する批評家には新聞社に手を回して潰させようともする、金の亡者として描かれる。 マスコミと手を組み、スキャンダラスな記事で注目を集め、世界的な地位の画家にまで上り詰める。 しかし、その嘘で塗り固められた人生の末路は、世間からは嘘つきというレッテルを貼られ、無一文で終えることになったというが。

ゴーストライターは悪なのか?

「ビック・アイズ」はゴーストライターだった。実際には、妻のマーガレットが描いていた画を夫のウォルターが描いたと偽っていた。 「ビック・アイズ」を売り込んで有名にしたのはウォルターであって、もし彼がいなかったら、誰の目にも 触れることがなかったかもしれない。同じ話でも誰が話すかによって影響力も違ってくるのはよくある話で、これは才能だと思う。 この映画では、ゴーストライターが悪いっていいう描き方はせずに、史実・伝記の色が濃くなっている。

芸術の大量消費への皮肉

「ビック・アイズ」の画の大量のコピーが出回り、街中で「ビック・アイズ」を真似た奇妙なでかい目のメイクが流行って、生みの親であるマーガレットが ドン引きする印象的なシーンがある。現代でも、◯◯風メイクとかファッションとか有名人を模倣する文化があるが、 流行に流され無個性になっていく大衆への痛烈な皮肉なのかもしれない。

あらすじ

あらすじをWikipwdiaより引用。

-ビッグ・アイズ
マーガレットは、娘を連れて夫と別居をはじめた。その別居先の町でバツ1の男性で画家のウォルターと出会う。 出会ってまもなく、二人は結婚をした。1950年代にウォルター・キーンはマーケティングでアメリカ中の 電機店やガソリンスタンドに大きな目を持つ子供の絵を大量に売る会社を設立した。 そして、金持ちになったウォルターはアーティストを自称して、トークショーの常連となった。 しかし実際には、妻のマーガレット・キーン(英語版)が絵を一から描き、 ウォルターはそれに署名するだけだった。そのため、マーガレットの画家としての能力は社会に 知られることがなかった。そんな中、2人の結婚生活は破綻してしまう。 これをきっかけにマーガレットは大きな目を持つ子供を描いたのは自分だと世間に公表しようとしたため、 ウォルターから「気が狂っている」と罵られる。最終的に2人の争いは法廷に持ち込まれることとなった。

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